【子育て支援企業訪問】No.2株式会社コヤマ

~イクボスの横顔~
 株式会社 コヤマ (村山市)

 小山社長、総務部主任佐藤幸子さんにお話をお伺いしました。

  「ご近所から、7名のお母さんたちを集めて始めたのです」と、創業者でもある小山喜代司社長はおっしゃいました。
コンピューター用各種コネクター等を製造する(株)コヤマは、40余年の時を経て従業員数180名の企業に成長しました。今も女性の割合は3分の2。

 そんな女性社員のお一人、総務部主任の佐藤幸子さんが入社されたのは上のお子さんが1歳に満たない時でしたが、すぐに「子育てをしながらでも働きやすい、むしろそれが自然な職場環境だと感じた」そうです。
 当時は『育児休業』があっても、たいへん言い出しづらい世の中でした。
ところが、2人目の子育てを考えていた佐藤さんに、上司が取得を勧めてくれたのです。この会社には『お互いさま』『私もそうして助けてもらった。次はあなたの番よ』という社風があったのです。

 社風はわかりますが、製造業である以上、その仕事を誰かがカバーしなければ…。
小山社長は「現場が回るように補い合う。みんな多能工(マルチスキルの人材)なんだよ」とおっしゃいます。なるほど、子育てしやすさのからくりは、助け合いだったのですね。

 小山社長が強調される「研修(勉強)に努めてもらい、人材を人財に変え、みんなで会社をよりよくしよう」という願いも、随所にちりばめられています。
それが形となった代表的なものが『社訓』です。5条までの条文はすべて《私は、…》から始まります。社員の声を集め、小山社長がすべてに目を通し、社員の決意としてまとめたものです。
同時にイクボスはよき経営者であり、それを社員に還元することで業績の向上につながることも見えてきました。

 子育て応援企業という肩書も、育児休業取得率100%、産休復帰率100%という実績も、「特別なことをしたわけではなく、みんなの声を聴いて形にした結果だ」そうです。例えば「あわただしい朝、出社時間があと30分遅ければ、登校する子どもを笑顔で見送ってあげられるのになぁ」などの声を形にするために、みんなで決めた制度の一つが育児短時間制度(小学校3年生の年度末まで)です。

 子育てに限らず、より働きやすい環境にするため、そしてよりよい会社にするため、誰かが声を上げ、トップがそれを受け止め、みんなで作った制度がたくさんあります。
佐藤主任は笑顔で語られます。「うちは、妊娠したらすぐに報告することになっています。すると、妊婦さんの身体に負担をかけないように、社長みずからちょうどいい高さの椅子を調達してくるのです。一脚ずつ増えていって、今では7脚あります。わが社は妊婦さんを一度に7人雇える用意がありますよ」

 子どもが生まれて育休中も、毎月『社内報』が届き、赤ちゃんを連れて訪問する機会が設けられています。社員みんながまるで親戚の子のように歓迎するそうで、微笑ましい様子が目に見えるようです。
また成長して小学生になると『職場参観日』を設けて招待し、中学生・高校生・地域に対しても様々な形で開かれた会社の一面がありました。

 

  

 1時間にわたりインタビューさせていただきましたが、小山社長の口からは一度も『子育て支援』とか『子育て応援』という言葉が出てきませんでした。
振り返ってみれば、ここでは言わずもがな、当たり前のことだったのですね。その先にある、温かく穏やかで優しいものをめざしていらっしゃいました。
それは何でしょうか。
 「社員を大切に思うから、教育訓練を大切にしている。社員の家庭も大切に思うから、いいお父さんといいお母さんを育てたい」
小山社長の思いは、『子育て支援』以上に深いものでした。

【聞き手:特定非営利活動法人ポポ―のひろば】

≪株式会社コヤマ≫
住 所:村山市大字大久保甲1260
代表者:代表取締役社長 小山 喜代司
業 種:製造業
従業員:180名(男性60名、女性120名)
・山形いきいき子育て応援企業(ダイヤモンド)認定
・山形県ワーク・ライフ・バランス優良企業知事表彰受賞
・子育て応援サポート企業(くるみん)認定

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